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病気のおはなし

レプトスピラのおはなし

レプトスピラとは人間と動物に共通して感染する細菌病です。犬では感染すると肝臓や腎臓に重度な障害を起こして死に至ることも多い恐ろしい病気です。

レプトスピラの感染経路

レプトスピラに感染したネズミの尿やそれに汚染された水を舐めたり触ったりすると感染します。カニコーラ型では保菌者になった犬の尿からも感染するといわれています。

犬のレプトスピラの症状

1、甚急性型: 急激に進行し敗血症でショックを起こし死亡する。進行が速いため肝不全や腎不全が起きる前に死亡する。
2、亜急性型: 発熱、食欲不振、脱水、嘔吐、黄疸、粘膜からの点状出血や舌壊死が起こり急性腎不全や肝不全で重篤な状態になる。死亡率も高く無事に回復した後も慢性肝炎や慢性腎不全で治療が必要になることも多い。
3、慢性型: 風邪のような症状があり自然回復することも多い。亜急性型から回復した子もこれに含まれるが保菌者となって尿から細菌を長期間排出するため尿の取り扱いには注意が必要である。

レプトスピラの診断と治療

診断は主に尿や血液のPCR法による遺伝子診断や急性期と回復期の血液検査で抗体価の変化を見る方法などがあります。治療は症状によって大きく変わるが抗生剤の投与と腎臓の保護のための静脈点滴、DIC(出血傾向になったり血栓ができやすくなる危険な状態)や肝不全に対する治療がメインになります。無事に回復した後は尿中からレプトスピラが排泄されなくなるまで抗生剤を投与し、PCR検査等を繰り返し完治するまで治療を継続する必要があります。

レプトスピラの予防

1)犬への予防
レプトスピラは約250種類の血清型が確認されており、そのうち動物への感染が危惧される血清型のうち約10種類が国内で確認されています。
レプトスピラはワクチンで予防できる病気ですがインフルエンザと同じように血清型が違うとワクチンの効果がないため、レプトスピラの感染をできるだけ防ぐには数多くの血清型の入ったワクチンを打つ必要があります。また感染した犬の尿には大量のレプトスピラが存在しますので野外での排泄はさせずペットシーツ等に染み込ませて適切に処分することをお勧めいたします。

2)人への予防
レプトスピラは人にも感染する人獣共通伝染病です。感染した犬の尿や汚染された水からうつりますのでそれらに直接触らないように手袋やマスクの着用を行います。汚染物は塩素などで消毒するか感染性廃棄物として廃棄する事をお勧めいたします。

レプトスピラワクチンを打つか打たないか?

レプトスピラワクチンは8種や9種などの混合ワクチンで予防できます。最近は11種というワクチンも登場しました。(レプトスピラはその中に2-5種含まれています。)
予防できる病気はすべて予防したいならば数の多いワクチンを選択すればよいですがワクチンアレルギーを持っていたり数の多いワクチンは負担が心配という飼い主さんも多いと思います。
レプトスピラは主に沖縄や九州地方に集中的に発生し、関東近辺では抗体価の高い症例は見られますが発症例は数年に何頭か発生する程度です。最近調布市で発症例が見られたという報告がありましたが近くで発生したからと言ってすぐに稲城市に広まるわけではありません。しかし運悪く感染源と接触する確率もゼロではありません。またレプトスピラのワクチンを打っていても感染した血清型がワクチンに含まれていなければ予防効果はありません。そこをよく考えてワンちゃんの生活環境(山や水辺などネズミの多い地域によく行く、外で飼っている、九州や沖縄に犬を連れていく機会があるなど)を考慮して判断していただければと思います。

 

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