神経異常による尿失禁のおはなし

意識していない時や、寝ている時などに尿が漏れてしまうことを尿失禁といいます。尿失禁には多くの原因があります。しかしそのメカニズムは非常に複雑で原因がいくつも重なっていたり一つに絞れないことも多いため各種検査で大まかに診断をつけ診断的治療で反応を見ることが多い病気です。
1、大まかな分類
異常のある場所 | 症状・尿失禁のしくみ |
脳や脊髄の異常 | 腫瘍や椎間板ヘルニアなどで尿意を感じなくなるため常に膀胱がいっぱいになり尿があふれ出てしまう状態。 |
膀胱の異常 | 1、膀胱の神経が過敏になり勝手に膀胱が収縮してしまうため尿失禁してしまう状態。 2、膀胱の筋肉が緩み、収縮できなくなるため常に膀胱がいっぱいになり尿があふれ出てしまう状態。 |
尿道の異常 | 1、尿道の筋肉が緩み、尿が漏れ出てしまう状態。 2、避妊・去勢手術の後、ホルモンのバランスが崩れ尿道が緩み、尿漏れしてしまう状態。(ホルモン反応性尿失禁) |
その他 | 1、異所性尿管等の形態的な異常 2、膀胱炎、尿結石、膀胱・尿道腫瘍などの物理的異常 3、甲状腺機能低下症などの他のホルモン異常 |
2、診断方法
- 問診・身体検査
・尿失禁が起きる状況(寝ている時、力んだ時、リラックスしている時、歩いている時など)
・避妊・去勢手術の有無、手術時期
・通常の排尿状態(排尿の回数、尿が出にくいか否か、尿意はあるかなど)
・交通事故や椎間板ヘルニアなどの既往歴の有無
・歩き方や神経反射の異常がないか ・その他 - 尿検査・エコー検査
・膀胱炎、尿石症、膀胱腫瘍などの物理的異常がないか検査します。 - レントゲン検査(造影検査)
・蓄尿の状態や膀胱や尿道の緩みや狭窄などの異常を調べます。
3、治療
上記の検査で異常が疑わる場所に対する治療を行います。神経に作用する内服やホルモン剤の投与や手術が選択される場合もあります。