てんかんのおはなし
「先生っ、うちの子が痙攣してる、どうしよう(泣)」
飼い主さんが大慌てで電話してきました。こんな時は焦る気持ちを落ち着けて、周りで騒がず10-20秒ぐらい静かに見守ってください。舌をかんじゃいけないからと言って口にタオルを入れたりすると飼い主さんが噛まれてしまうのでそっと見守るだけで大丈夫です。多くのてんかん発作は数十秒でおさまりしばらくすると何事もなかったかのようにけろっとしてしまいます。それから病院に連絡して指示を仰いでください。しかし、いったん収まったかと思ったらまた痙攣し始めたり、数分痙攣が続くようならすぐに病院に連絡して連れてきてください。
てんかんとは
脳の機能的な異常によっておこる病気で神経が異常に興奮することでてんかん発作を引き起こします。大きく次の2つに分類されます。
- 症候性てんかん:各種検査によっててんかんの原因となる異常が見つかるもの。たとえば水頭症や脳炎、脳腫瘍などの脳神経の異常や心疾患、内臓の異常(腎不全、電解質異常など)、その他。
- 特発性てんかん:上記の検査で異常が見つからず、遺伝的要因以外に発作の原因が認められないもの。
てんかんの診断
まず、症候性なのか特発性なのか区別する検査を行います。
1)問診:飼い主さんから発作の状況や頻度など詳しく教えていただきます。
2)一般身体検査:触診、聴診、視診などで外見からわかる異常を調べます。
3)神経学的検査:対光反射や歩様など神経の異常について調べます。
4)一般臨床検査:血液検査やレントゲン検査、エコー検査などで内臓の異常や電解質バランス、 感染症の異常を調べます。
5)高次検査:上記の検査で異常が認められなかったり、明らかな脳の異常が疑われるときはMRIや脳脊髄液検査などを行います。
てんかんの治療
何らかの異常が見つかる症候性てんかんについてはそれぞれの異常に合わせた治療を行います。
特発性てんかんの場合は、一定の条件を満たせば抗てんかん薬を用いた内科療法を行うことになります。
<一般的な抗てんかん薬の投与基準(抗てんかん薬の投薬基準には例外もあります)>
1、3か月に2回以上の発作が見られる。
2、1年に2回以上集中的に発作が起こる期間がある。
3、1回発作が起こると立て続けに何度も起こる。
4、発作が終わった後の症状が重度である。
5、症候性てんかんであることが明らかである。
<抗てんかん薬を飲む際の注意事項>
1、長期服用する場合は定期的に肝臓などの検査が必要です。
2、投薬を止める場合、突然切ってしまうと発作がぶり返したり、ひどい発作を起こすことがあるので数カ月かけて徐々に減らさなくてはいけません。