耳血腫のおはなし
「先生~。うちの子の耳が突然パンパンに腫れてきたんですっ。」
ラブラドールのエルちゃんの飼い主さんがびっくりして病院に飛び込んできました。
確かに耳介がはれてレモンがぶら下がっているみたいになっています。エルちゃんは夏になると外耳炎になりやすく最近もしょっちゅう頭をぶんぶん振っていたり耳を頻繁に掻いていたとのことです。
人でも格闘技をやっている人の耳がしわしわに変形しているのを見たことがあるかもしれませんが耳血腫は耳介への衝撃などで毛細血管が破れ、耳たぶの中に血様の漿液がたまってしまう病気です。
1.耳血腫の原因
・外耳炎等が原因で耳介を激しく振ったり掻いたりすることによる衝撃で 耳介内の毛細血管が破れるため。 |
・免疫的な異常による場合もある。 |
2.耳血腫の治療
外耳炎の治療
- 外科手術:
耳介を切開し中にたまっている漿液やフィブリンなどの除去を行う。また再び漿液の貯留が起こらないように縫合と圧迫包帯を行う。 - その他:
麻酔がかけられない場合や耳血腫が軽度の場合は根気よく針を刺して排液を繰り返す。ただし治る までに時間がかかることが多い。免疫的な異常が考えられる場合は内服を併用することもある。
3.耳血腫の予後
外耳炎の治療をしっかり行い耳を振らせないようにすることが大切です。耳血腫は一度治療しても耳介の衝撃が加わると再発することがあります。また治療後も立ち耳の子は垂れ耳になったり耳介がしわしわになってしまうことがありますので耳血腫にならないよう外耳炎予防を行うことが大切です。