気がつかないうちに進行する病気~慢性腎不全のおはなし
慢性腎不全はイヌとネコのどの年齢でもなりえる病気ですが、特に高齢になるに従いかかりやすくなる病気の一つです。
飼い主さんが気が付く症状には
1、 水をたくさん飲む
2、 うすいおしっこを大量にする
3、 このごろよく吐くようになった
4、 食欲が落ちて痩せてきた
5、 便秘気味になってきた
などです。
しかし実際にこれらの症状が出る頃には腎不全がずいぶん進行していることが多く、初期の段階では無症状で見過ごされることが多いのが現状です。これは腎臓の75%の組織が死んでも腎機能が正常の半分までしか下がらないという腎機能の順応によるものです。
これらの話をすると「早期発見するにはどうしたらいいの?」という質問をよく受けますが、これは6歳を過ぎたころから定期的に尿検査と血液検査を行うしかありません。
特に尿比重といって尿の濃縮度を示す数値は血液検査値よりも早い段階で異常が出てきますので、朝一番のおしっこを取って病院に持ってきていただければ簡単に検査ができます。
また、もし慢性腎不全になってしまった場合はその状態に応じて食事療法や各種内服薬、輸液などを定期的な検査を行いながら選択していくことになります。これらの治療は壊れた腎臓を治すものではなく、できるだけ症状を抑え、腎不全の進行をゆっくりにするのが目的です。
詳しい検査方法や治療法などご不明な点は当院にご連絡ください。